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大阪地方裁判所 昭和60年(わ)343号 判決 1985年4月08日

本店所在地

大阪市西区京町堀三丁目三番三〇号

商号

株式会社同盟通信大阪本社

代表者氏名

田中資三

本籍

大阪府箕面市白島二丁目二七一番地

住居

大阪府箕面市白島二丁目一八番二〇号

会社役員

田中資三

大正一二年一二月二六日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官竹下勇夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社同盟通信大阪本社を罰金二四〇〇万円に、

被告人田中資三を懲役一年に各処する。

被告人田中資三に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社同盟通信大阪本社は、大阪市西区京町堀三丁目三番三〇号に本店を置き、貸ビル業等を営むもの、被告人田中資三は、同被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人田中資三は、同被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  同被告人会社の昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が別表一の一記載のとおり一〇〇、九六〇、四八四円で、これに対する法人税額が別表一の二記載のとおり三九、二六八、四〇〇円であるのにかかわらず、家賃収入を除外し、架空人件費を計上するなどの行為により右所得の一部を秘匿した上、法定申告期間(同五六年五月三一日)内の同五六年五月二五日、大阪市西区川口二丁目七番九号所在の所轄西税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二七、四三四、九二七円、これに対する法人税額が九、八五八、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税二九、四一〇、四〇〇円を免れ、

第二  同被告人会社の同五六年四月一日から同五七年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が別表二の一記載のとおり一二五、二〇六、〇八七円で、これに対する法人税額が別表二の二記載のとおり五一、五四九、〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿した上、同五七年五月二九日前記西税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三〇、一〇六、二七〇円、これに対する法人税額が一一、六九四、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税三九、九四二、〇〇〇円を免れ、

第三  同被告人会社の同五七年四月一日から同五八年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が別表三の一記載のとおり一五四、四五一、五九二円で、これに対する法人税額が別表三の二記載のとおり六三、七三九、二〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿した上、同五八年五月三一日前記西税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四五、〇五九、四八三円、これに対する法人税額が一八、四〇二、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税四五、九四四、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人田中の当公判廷における供述

一  被告人田中の検察官に対する供述調書二通及び大蔵事務官に対する質問てん末書一八通

一  中島俊一の検察官に対する供述調書

一  早沢光雄、早澤光雄(二通)、早澤中也、田中敬三(三通)、藤村アヤ子、恒川宮子、伊藤富美雄、鳥本逸雄、今西義光、小野美恵、安濃貢、野口一明、尾家匡彦、中島秀一、田中文子(二通)、田中純吉の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の「家賃収入除外」、「広告料、講読料収入の除外額について」、「架空給料等」、「旅費交通費」、「旅費交通費(タクシー代)」、「旅費交通費(出張旅費)について」、「税務調整について」、「割引債券償還益等」、「割引債権元帳」、「預り保証金」、「預り保証金返還状況調査」、「雑収入除外(公衆電話料等)〈2〉」、「車庫証明収入」と題する査察官調査書

一  早澤光雄作成の確認書

一  登記官作成の法人登記簿謄本

一  被告人田中作成の定款

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の「駐車保管料収入除外(2)」、「分担金収入(共益費等)〈2〉」、「分担金収入等(電話使用料追加分〈2〉)」「預り保証金返還状況調査(2)」と題する査察官調査書

一  大蔵事務官作成の昭和五六年五月二五日申告法人税申告書証明書

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の昭和五七年五月二九日申告の法人税申告書証明書

判示第二、第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の「駐車保管料収入除外(1)」、「一時預り家賃収入(1)」、「分担金収入(共益費等)〈1〉」、「分担金収入等(電話使用料追加分)〈1〉」、「架空経費」、「預り保証金返還状況調査」、「幹線承諾料(テナント所有分)」、「雑収入除外(公衆電話料等)〈1〉」と題する査察官調査書

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の「個人負担経費(消耗品ほか)」と題する査察官調査書

一  大蔵事務官作成の昭和五八年五月三一日申告の法人税申告書証明書

(法令の適用)

被告人田中資三の判示各所為は、法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を各選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人田中資三を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

被告人田中資三の判示各所為は、被告人株式会社同盟通信大阪本社の業務に関してなされたものであるから、同被告人会社については法人税法一六四条一項、一五九条一項に各該当し、情状により同条二項を各適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で、同被告人会社を罰金二四〇〇万円に処する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 柴田秀樹)

別表一の一

修正損益計算書

自 昭和55年4月1日

至 昭和56年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別表一の二

税額計算表

〈省略〉

別表二の一

修正損益計算書

自 昭和56年4月1日

至 昭和57年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別表二の二

税額計算表

〈省略〉

別表三の一

修正損益計算書

自 昭和57年4月1日

至 昭和58年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別表三の二

税額計算表

〈省略〉

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